続・鉢植右から3番目
ただし、物事はするすると当然のように楽な方向へ進み、私は彼に惚れてしまった。
いや、惚れたというのは適切ではないか・・・。うううーん、何といえばいいのやら。そうだな・・・慣れた。これも違う?うーん、懐いた?そんな感じかな?
とにかく、普段無口で無愛想で口を開けば「面倒臭い」や「だるい」などとのたまう男が、私は好きになってしまったのだった。
たまに見せる彼の優しさが。
たまに見せる、楽しそうな笑顔が。
前を向いたままで黙って手を握ってくれるところが。
好きなんだな、と判ったのだ。
驚いたことに、ヤツも私に慣れてしまったらしい。
バタバタと家の中を走り回る私の姿が見えないと、何だか物足りないと思ってしまった(イケナイことであるかのように言いやがった)、らしい。本人曰く。
そんなわけで、婚姻届をぶっすーと役所に提出して、何となく同居人として毎日を過ごしていた私達は、去年の初秋、本物の夫婦になることにしたのだ。
そして、彼にしてはかなり上出来な、驚くほどロマンチックな演出もしてくれて、その結果、エッチすらも面倒臭いと言っていた男と目出度く夫婦の契りを結び(きゃー!!)、名実ともに妻になった私だった。
秋と冬と春を過ごしてきた。
去年までは一人で暮れ行く年の瀬を切なく眺めているだけだった私は、この正月は人妻として方々へ挨拶に行ったのだ。