続・鉢植右から3番目
2、ダイナマイト元副会長
ざわざわとしていた会場に、マイクの音が響いた。
色んなところで輪を作って談笑していた皆が、何となく壇上の方を見る。何人かの先生方(やっぱり先生は変わってないなあ!年とっただけ)と並んで立つのは、先ほどの木下君。
堂々と胸をはり、嬉しそうにマイクを握っている。
『お集まりの皆さん、注目願います!』
キーン。
・・・マイク、いらないんじゃない?元々彼は声がでかい。
辺り一面から失笑が出ていたから、皆同じことを考えたに違いなかった。
元生徒会長である漆原大地から指名を受けて、自分が開会の挨拶をさせてもらう、と木下君は話し出す。今はどういう仕事をしているのかはしらないが、その姿は本当に立派で場所に馴染んでいて、普段から人の前で喋ることの多い立場なのかな~と思った。
「木下、嬉しそうじゃん」
隣で奈緒がぼそっと呟く。やっぱりそう見えるよね。私も頷く。
ペラペラと6分ほど自己紹介を喋って、本日の来賓の紹介、同級生で海外に出ていて来れなかった人たちからの電報紹介、79期生が入学した時に日本で起こったことの紹介、などをする。その頃から、皆の間に同窓会だという雰囲気が流れ出した。
それから、全員で校歌を歌うのは最後にまわすから途中で帰らないようにとお達しがあって、とりあえず食べよう!と木下君が丁寧な口調で(でもデカイ声で)言った。
ようやく立食パーティーの始まりだ。