続・鉢植右から3番目


 その時、ダレ男を見上げて言葉を放っていた渡瀬さんがくるりと振り返った。

 一瞬で緊張する。

「今、夫って言った?榊さん、その人は、まさか、漆原君の奥さんなの?」

 私は首が折れそうな勢いで奈緒を振り返る。違うって言ってええええええ!!!

 こんな微妙な感じで目立ちたいわけじゃないのよ私!!

「あ・・・あのー・・・」

 緊張してうまく口の回らない私が小声を出す。

 渡瀬さんの登場で、周囲の人間も何事かと私達に注目し始めていたのに気付いていた。当然だ。何しても目立つ人種がいるのだとしたら、彼女がまさしくそれだ。

 この会場に来てからは、旧姓の名札のお陰で私が漆原大地と結婚したことは殆どバレてないようだったのだ。

 それが、この目立ちまくる別嬪さんに言われてしまった日にゃ、そこら辺りの野次馬が囃したてそうな気がするのよ~!!

 結婚したことは素敵なことだった。

 だけど、それをわざわざこの場で宣言することはない!


 奈緒は絶対わかっていたはずだ。私のウルウルした瞳にも気付いていたはずだ。でも、彼女は無視した。

「あ、そうそう。漆原の妻だよ~。3-1だった兼田さん」

 な~お~おおおおおおおおっ!!!


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