続・鉢植右から3番目


 一人で脳内大パニックに陥った私を真正面から見詰めて、渡瀬女王様が腰を手に当てている。

 な・・・・なななななな、何を考えてらっしゃるのでしょうか~・・・。

 ダラダラと脂汗を流す私をしばらくじっと見て、彼女は気が済んだように、まだ食べているヤツを振り返った。

「漆原君」

「ん?」

「あなたにしちゃ上出来な奥さんを手にいれたのね、おめでとう」

「・・・どうも」

 無愛想男もさすがに苦笑した。

 私はとにかく彼女の視界から外れられたことに安堵していた。・・・ああ、緊張した。何でよ、全く。同じ年だっつーの。

 よろよろと壁に手をつく私に、奈緒が楽しそうに大丈夫?と聞きやがる。

 それを睨みつけていたら、渡瀬さんが言った。

「漆原君、私が一番興味がある質問をするわ。あなたの仕事は何?」

「・・・什器の設置」

 ダレ男がだら~っと答えると、腰に手を当てたままの格好で小首をかしげる。

「ふうん?それって奴隷みたいなことなの?」

「・・・ちょっと違うかな」

 いや、大分違うだろ?思わず横から突っ込んだ(ただし、心の中で。だって怖かったから)。どうして什器の設置が奴隷仕事に変換されるのよ。

 渡瀬さんは小首を傾げたままで頷いた。

「まあ、なんにせよ、あなたがちゃんと仕事をしているってことが驚きだわ。やれば出来るのねえ、漆原君」


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