続・鉢植右から3番目
「俺もそう思う」
・・・ダレ男、生徒会の時、本当に何もしなかったんだな~・・・。渡瀬さんの言葉でそう思った私だった。
奈緒がにやにや笑いながら、渡瀬さんの肩を叩く。
「そうだ、渡瀬さんは予定通りに女王様になったの?」
周囲のざわめきが止んだ。皆、ちゃんとそこは耳にひっかかったようだった。
ま、気持ちは判る。私だって思わず耳をそばだてている。
渡瀬さんはにっこりと笑って髪の毛の先を指で弄る。30歳過ぎてもそんな少女みたいな仕草が似合うのが驚きだった。私がすれば、ただのイタイ女だな。
「女王様はやり遂げて、次のステップに行ったわ。今は会社を興して忙しくしているわね」
へええええー!!聞き耳を立てていた周囲の人間も、思わず声を上げていた。だからその場にいた数十人がハモった形になったわけ。結構な音量だった。
私も口をあけっぱなしで彼女をじっと見る。
・・・何だこの人、社長様か!
奈緒が隣で一人、パチパチと拍手をする。
「さすがね、渡瀬さん。で、どういう会社?」
きっと奈緒の中でそろばんが弾かれたはずだ。これから自分の手助けになってくれそうかどうかの。その点、奈緒の嗅覚は素晴らしい。
渡瀬さんは瞳を細めて小声になった。
「詳しく知りたかったら―――――――後で、お時間頂ける?」
「勿論よ!楽しみにしてるわ」