続・鉢植右から3番目


 別嬪同士が瞳を合わせて火花を散らしている。私はそれを、完全な傍観者になって見ていた。

 奈緒の方へ体を向けたまま顔だけダレ男に見せて、渡瀬さんが軽やかに言う。

「とにかく、漆原君。ちゃんと閉会はあなたがマイクを持ってよね。逃げれると思ったら大間違いよ」

 ヤツは無言で最後のサンドイッチを口に放り込んでいる。それを見上げて美しく妖艶にため息をつき(一体どんな技??)、渡瀬さんは来た時と同じく唐突に立ち去った。

 私達に注目していた周りの目も一緒に他へとうつる。少しの間静かだった周囲に、またざわめきが戻った。

 ・・・はあ~・・・疲れた。私がぐったりと壁にもたれかかっていると、横から手が伸びてきた。

 反射的にお皿を避けて見上げると、ダレ男。

「食べないのか?」

「食べるわよ!」

「・・・食べてないだろ」

「今から食べるのよ~!」

 自分の分がなくなったからと私のお皿に目をつけたらしい。くそ、若干食欲は減退しているけど、とりあえず会費の分は食べてみせる!

 私は結構やけくそになって、上品って単語とはほど遠い勢いで、ガツガツと料理をかっこんだ。


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