続・鉢植右から3番目
折角だから、と私は頷いて、お盆に入れてもらったグラスワインとビール瓶とコップを持って、その集団が囲む小さなテーブルに移動する。
5人ほど集まっている女性は、確かに高校3年生の時のクラスメイトばかりだった。
名札を見ると学生時代の彼女達の顔が浮かび上がってくる。私は一人ずつに挨拶をして笑顔を振りまいた。
やっぱり懐かしい人たちの顔を見ると、興奮する。
彼女達も同じようで、見た目の老け方は人によって違えど、笑顔は興奮の為にキラキラと弾けるようだった。
と、視界に一人の笑顔が引っかかった。・・・あれ?佐々波さん・・・だったよね。何か、苦笑してる?
クラスメイト時代もそれほど話したことのない人が、どうして私に苦笑するのだ。
若干それは不思議だったけど、私はとりあえず気にしないことにした。人には色々あるものだ。彼女はもしかしたら盛り上がる話をしている途中だったのかもしれないし。その途中で私が入ってきた、とかね。
「兼田さんは結婚してるの?」
目の前に立つ香川さんが身を乗り出して聞く。彼女の指には光る指輪。彼女は結婚しているらしい。
私も指輪をしていたけれど、手を下ろしているから見えないのか、と気付いた。
「何とか結婚出来たわ、去年の春に」