続・鉢植右から3番目
自嘲気味にそういう。そういう答え方が受けるのは知っていた。予想通り、周りからは微笑が漏れる。
「お子さんはまだ?私は双子がいるのよ~!毎日がほんと、戦争」
その隣の岸田さんが言う。おお~、と周りから声が上がった。この話題はまだだったようだ。
「双子!それって前から思ってたんだけど、授乳はどうするの?片方づつじゃ足りないよね?!」
興奮した角田さんが顔をぐいと出して岸田さんに聞いている。岸田さんは一人は授乳で、もう一人は粉ミルクを交互にやる、と実演しだして笑えた。
双子か!それは大変だろうなあ!
それを機に、それぞれが子供の有無や性別について話出す。私はそれをニコニコしながら見ていた。やっぱりね、と思った。
どうしてもこういう話題になるよね、そりゃ。
ここの集団は皆が結婚しているからと解禁になった話題のようだった。一人でも独身がいればされなかったのかな、と考える。
忍田さんがいるから、そこはきっちりと気を使いそうだけど。
こういう時でも彼女はちゃんと皆の顔を見ているようだった。目線があって苦笑する。
するとそれまで黙って皆の話を聞いていた佐々波さんが、唐突に口を開いた。
「兼田さんは、子供さんはいないの?」