続・鉢植右から3番目
私は一人でトイレに向かう。
底に落ちてしまった楽しい気分を思い出して、それから出来たら食欲も取り戻して、それから更にこの会も楽しめたら―――――――と思ったのだ。
ところが、人生を司る神様は、たまに意地悪をする。
きっと本当に存在しているなら性格悪いよね、神ってきっと。
そうだ、よく考えたらギリシャ神話の大神ゼウスだっていい性格ではなかった。浮気しまくりの、いたずらしまくりの。・・・って、そんなことはどうでもいいんだけど。
私はうんざりしてシミ一つない化粧室の壁に八つ当たりしたくなる。
だって、どうしてここにいるのよ、あなた。
個室から出て、化粧直しをしようと思ったのだ。そしたら人が立っていた。
私の目の前には佐々波さん。目をヤバイ色にランランと輝かせている。単純に考えて、つけてきた、のだろう。
言い訳しない私にムカついて。
口答えしない、もしくは謝罪をしない私にムカついて。
さっきは奈緒に邪魔されたから。
わざわざパーティー会場とは階数の違うトイレまで来た私のあとを、つけてきたのだろう。
クリーム色のカシュクールトップスにタイトな膝上スカート。黒いピンヒール。上から下まで完璧といってもいいほどの「仕事が出来る女」を醸し出した格好で武装している彼女は、高いヒールを大理石の床でこつこつ鳴らしながら言った。
「出来たら、衆人観衆の前であなたが不倫をしていたってバラしてやりたかったわ」
・・・・畜生、キチガイ女。