続・鉢植右から3番目


 私は相変わらず口を空けっ放しで、突っ立っていた。


 ・・・いつからそこに居たの。


 どこから聞いていたの。


 ちょっと待ってよ、一体今晩は、どういう夜なのよ―――――――――――


 佐々波さんが走って階段に消えた。それを見て、渡瀬さんが隣で呟く。あら、奴隷が逃げちゃったわって。

 私は疲れて眩暈を感じた。このままここで倒れたら、一番楽かもしれないな、と考えた。

 何て思っただろう。何て言うだろう。夫は、このことを―――――――

 ヤツは背中を壁からはがしてスタスタとこちらに歩いてくる。

 そして私の全身をちらりと見て、普通の声で、いつもの無表情で、こう言った。

「凄いな、服着たままで泳いだのか?」

 眩暈が、酷くなった。




 ああ、神様――――――――――――――――






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