続・鉢植右から3番目


 やっと口から出した言葉はそれだった。どうしても聞けないんだな、不倫については。

 内心の凹みが夫にバレないように、ペコちゃんのような無邪気な顔を装ってみる。聞きたいことはそれなのよ!って感じで。

 すると、ヤツは一度パンを口に入れてから、ぼそっと呟いた。

「外」

 私は瞬きをする。

 ・・・・・えーっと、はい。外ね、外。・・・え、終わり、ですか?

 ヤツはもう普段のように黙々と食事を続ける。どうやら会話は終了らしい。・・・・愛想のねー野郎だ。

 舌打ちを飲み込んで、仕方なく私もスプーンを口へ運んだ。

 外って・・・答えたくないのだろうか。それとも特にどこともなくフラフラしていたってことだろうか。うーん、どっちも有り得る。

「ご馳走様」

 私がぐだぐだ考えている内に、ヤツは食事を終えてしまった。そして自分で食器を流しへ運び、お風呂場へ行ってしまう。

 私はスプーンを握ったままで、それをぽかんと見送った。

 ・・・・おーい、大地くーん?

 どうやら夫はもうお風呂に入るらしい。服をとりに戻ってきたから、お風呂入るの?と聞いたら、頷いた。

「明日から、設置場所が遠い」

「あ、そうなんだ」

「だから朝も早いし夜は遅くなる」

「あ、えー、はい。判りました」


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