続・鉢植右から3番目


 話そうと決めたのにまだヤツとは話せず、2週間が経ってしまった。もう7月が終るのだ。

 その間、熟睡できたことは一度もなかった。ウトウトと横たわり、夜中に何度もハッと目覚める。

 何か苦しい夢を見たようで、口の中に苦い味が広がったりして水を飲みに起きる。

 そろりと行動しているけど、何度かはヤツも起きてしまったのだ。だから知っているのだろう。私が眠れていないと。

 寝転がった私の目が霞む。


 体調は悪いのに体が軽く感じるのは、きっと体重が落ちているせいだろう。よく考えたら、忙しいヤツと食事が出来ないのをいいことに、食欲がないからと殆ど食べてなかった。

 一人の食卓が面倒臭くて、台所で立ったままお茶漬けをかっ込むこともある。

 まだまだ暑くなるのに・・・・これじゃあ、もたないよ、わたしったら。

「・・・病院・・・いきかしら~・・・」

 呟いた自分の声に、ぐぐっとまた辛くなる。


 窓から入る日曜日の日差しに勇気を貰って、無理やり目をこじ開けた。

 ダメだ。

 このままでは、私はダメだ。

 助けを呼ばなくちゃ―――――――――――


 起き上がって、奈緒に電話した。



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