続・鉢植右から3番目
運ばれてきたおかゆには手を付けずに、私は話す。体力がないのでゆっくりと、言葉を押し出していた。
奈緒は難しい顔をしてじっと話を聞いていた。相槌も頷きもなく。両手で額を押さえて黙って聞いていた。
「つまり」
話し終わると、暫く間を空けてから彼女は言う。
「会話がなくて、どうしたらいいか判らなくなってるってことね」
少し考えて、私は頷く。えらく簡単に略されちゃったけど、つまりはそういうことよねえ~・・・。
奈緒は眉間に皺を寄せて言った。
「漆原が平日忙しいのは素晴らしいことだから、おいておくわ。日曜の外出は気になるのはなるけど、それも大したことじゃあなさそうよね。面倒臭いから言わないだけで、現場の監督に顔を出してるってことだって有り得るんでしょ?」
――――――――成る程。私は頷いた。ヤツは、仕事に行くときだってわざわざ仕事に行って来る、などとは言わない男だ。
そして、確かに繁忙期では土日関係ない時もある(らしい)。
奈緒は長く伸ばした爪でこつこつとテーブルを叩く。
「問題はヤツじゃないのよ。あんたよね、都。とりあえず、意味不明な一人パニック状態から脱しなきゃダメよ」
キッパリとした声だった。
「あんたは不倫をした。それは良くないことだった。でもその過去はどうしようもないことで、終ったこと。そう思ってたんでしょ?あのバカ女に理不尽に責められるまでは、ちゃんと忘れてたんだから」
「・・・そうね」