続・鉢植右から3番目
確かに、彼女に攻撃されるまでは、私は気分よく毎日を過ごしていた。過去は過去だと思えていたはずだった。
考えながら話す時の彼女の癖で、奈緒は右斜め上を睨んでいた。
「それを、漆原に聞かれてしまった。するとあの男がどう思ってるかがやたらと気になり出した。・・・で、食欲不振、体調不良、生理不順に睡眠障害?」
「・・・の、ハズなんだけど?」
だって現実そうなっているし。私が怪訝な顔をすると、前の席で、奈緒ははあ~っとため息をついた。
「だって、あの男がそんなこと気にすると思う?」
「思わないけど、それをちゃんと口に出して言って欲しいと思ってるのよ」
「・・・あんたは、世にも変わった男と結婚したのよ」
「判ってるわよ、そんなこと」
「判ってるならそれで納得しなさいよ!」
奈緒がドンと机を拳で叩く。私は水のコップを避けながら言った。
「それが出来ないから、こんな状態なんでしょ」
私がまたぶーむくれると、彼女はジロジロと私の酷い外見を眺め回した。そしてうんざりしたような声で言う。
「あんた、ちょっとそれ食べてなさい。私、電話」
いきなり席をたって鞄を引っつかみ、奈緒はさっさと店を出て行ってしまう。
―――――――――ええ??