ヴァイス君の日常
「病人に見えねぇ・・・」
コイツ熱があってもこんなに爽やかなの?
「フローラちゃん、優しく看病してね」
そう言って姫さんの手を握った。
王子が居ないのをいい事にやりたい放題しそうな雰囲気を醸し出していたコイツの腕を衝撃が襲ったのはその直後。
「いたっ!!!」
ある筈のない第三者の手。
その手を目で追っていくと・・・鬼の形相をした氷の王子様が降臨していた。
「王子っ!?」「兄さん!?」
「えっ?ロック?」
無言で姫さんを抱き寄せた王子は
「・・・何してやがる」
背筋が凍るような声を出した。
きっと今、この部屋の温度は氷点下・・・
「何って・・・熱があるから看病してもらってたんだけど」
「お前は、看病してもらうのに手を握るのか」
こっ、怖いっ!!
王子が無意識に飛ばしている魔力が今の体にはキツイ・・・
「だって、フローラちゃんの手が冷たくて気持ち良かったんだよ」
「ほぅ・・・冷たいのがいいならお前を氷付けにしてやろう」
本気で魔法を使おうとした王子に気が付いたニコルが
「ちょっと待って!ごめんなさいっ!」
慌てて謝った。