ヴァイス君の日常
「・・・んっ!」
---おいおい・・・
ちゅっちゅと聞こえるその音と、くぐもった声は紛れもなくキスをしているのがバレバレで・・・
今、物音を立てて王子にバレたら殺されるっ!!
この状況から逃げ出したいのにそれが出来ないなんて、どうすりゃいいのよ・・・
すぐに終わるだろうと思っていた王子と姫さんのキスは暫く経っても終わる事はなかった。
---いつになったら終わるんだ・・・?
ってか、まさか此処でそのまま始めたりしないだろうな?
怖い想像をしながら待っていると、やっと唇を離したらしい王子の声が聞こえてきた。
「お前の唇はいつでも甘いな」
「え、今日はまだ甘い物なんて食べてないよ?」
「そうか?」
---そうか?だって・・・何か漂っている空気が甘いぞ?
これ以上、此処に居る事に限界を感じた俺は、そっと立ち上がった。
音を立てないように慎重に歩いていたら・・・植え込みの隙間から二人の姿が見えて・・・
「愛しているよ、フローラ」
腕の中に閉じ込めた姫さんを愛おしそうに見つめて愛の言葉を囁いた王子。