ヴァイス君の日常


俺の頭上で、バサッって音が響いた。


「うん!これだけかければ美味しそう」


姫さんが止める声も虚しくケーキにかかったであろう“匂い粉”。

それが何かなんて全くわからない俺だけど。

姫さんとの遣り取りで、あのケーキはパール嬢が作ったに違いない事だけは理解できた。


---ケーキに手を出す前に分かって良かった・・・


パール嬢が作った料理に手を出しちゃいけない。

あの子の料理は壊滅的だから。

以前、食った手作りクッキーは1つ食ったら口が血の海になった。

その前にも、パール嬢が作ったのを知らないで飲んだスープの味はゲロ不味だった。旨そうな材料がゴロゴロ入っていたのに不味いって。その具材たっぷりのスープからは、得体の知れない物体の足が飛び出ていて・・・飲んだ後に気が付いた。

一口しか食ってないのに、その夜から1週間・・・酷い腹痛に悩まされてトイレとお友達だった。


「・・・・・」


思い出しただけでも腹の調子がおかしくなりそうだ。

そんな事を考えていたら


「パール様・・・何故、匂い粉をお持ちなんですか・・・?」


姫さんの声。


「これ、この間ソフィに貰ったのよ」


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