ヴァイス君の日常


このケーキを食ったら、俺、女らしくなっちまうの??

頭の中で想像してみる・・・


・・・・・


「おえっ」


ドレスを着て花を摘んでる俺って気持ち悪い。

そんな副作用も嫌だけど、舌が麻痺して媚薬効果がある代物なんて絶対口にしたくない!

こんな所に居たら、いつパール嬢が戻って来るかわからねぇ。

ここは、早く退散した方がよさそうだ。


「じゃ、俺行くわ」


背筋がゾッとするケーキを横目に出口へ向かう俺に


「ヴァイス様、これをお持ちください!」


姫さんが何かを投げてきた。

それを片手で受け取り見てみると


「飴?」


赤い飴玉だった。


「もし、このケーキを食べてしまったらその飴を舐めて下さい。匂い粉を中和する作用があります」


「マジで!?サンキュー、姫さん!」


その飴を大事に握り締めて厨房を後にした。



───で、まだ逃げ続けてるんだけど・・・


俺、いつまで逃げてりゃいいんだ?

パール嬢が料理を作る度に逃げてるんだけど。

そんな事を考えていたら


「ヴァイス見~つけたっ!」


腕をがっしりと掴んだパール嬢が満面の笑みを浮かべていた。


「ひぃ────っ!助けて────っ!」


叫んだ拍子に握り締めていた飴玉は、どこかにすっ飛んでいった・・

ズルズルと引き摺られるように連行される俺。



その後、ドレスを着た俺が中庭で花を摘んでいる姿を王子と姫さんが見ていたなんて俺は知らない───

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