ヴァイス君の日常
ガキの頃からずっと見てきたけど、俺が知ってる王子はいつも冷静で無表情。
あんな表情を見せるようになるなんて天変地異の前触れじゃないだろうな・・・
なんて暢気に考えていたら、次に見た光景に本当に顎が外れた。
あの王子が見せた事もないような最高の笑顔を浮かべていたから・・・
その後も、姫さんの耳元で囁いているであろう愛の言葉に姫さんの顔が真っ赤に染まっていく。
仲睦まじく城に帰っていく二人。
王子達がこの場を去っても俺は思考回路が停止して動く事が出来なかった。
顎が外れただけじゃなく鼻水まで垂れてきた・・・
ハッと我に返って、急いでルイスのとこに走る。
「あれま・・・ヴァイス、顎が外れていますよ?」
「あやああうあお!(見りゃわかるだろ!)」
「はいはい、何を言っているのかわかりませんが取り敢えずそれ治しましょ」
そう言って腕を引っ張られた俺はルイスと共に医務室へ消えていった。
--------------------------
ルイスに治してもらった顎を擦りながら廊下を歩いて部屋に戻った俺。
風呂に入ってベッドに寝転がって大事な事に気が付いた。
「あぁーっ!!俺、ケーキ食ってねぇじゃんっ!!」
ガックリと項垂れた俺は後日、もう一度料理長に同じケーキを作ってもらったのだった。