ヴァイス君の日常


「え?い、今は、まだ呼んでねぇよ。騎馬隊の馬がびっくりしちまうだろ?」


ニコルの言葉に動揺した俺は目を泳がせていた。


「でも、他の竜はとっくに配置についてるし、うちの騎馬隊はワイバーンには慣れているから大丈夫でしょ?」


痛い所を衝かれた。

そう、他の騎士団の竜は既に揃っていた。

何で俺のワイバーンが来ないのかと言うとねぇ・・・・


「今日はお嬢さんの機嫌が悪くてさぁ、いくら呼んでも来てくれねぇのよ」


本当の事をニコルに伝えたら


「君のワイバーンって・・・」


「我侭なんだよっ!!」


項垂れた俺を慰めるように肩にポンと手を置いたニコル。


「女性の扱いは難しいからね。でも君、一応は竜騎士団の団長さんでしょ?必要な時にワイバーンが来てくれないんじゃ・・・死ぬよ?」


「・・・・・」


そうだ。団長なのに多分、一番ワイバーンを乗りこなせていないのは俺。

何だか悲しくなってきた・・・


「ピィーッ・・・おーい!お嬢さ~んっ!!!」


指笛を鳴らしてワイバーンを呼んだ。


< 9 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop