ヴァイス君の日常
「え?い、今は、まだ呼んでねぇよ。騎馬隊の馬がびっくりしちまうだろ?」
ニコルの言葉に動揺した俺は目を泳がせていた。
「でも、他の竜はとっくに配置についてるし、うちの騎馬隊はワイバーンには慣れているから大丈夫でしょ?」
痛い所を衝かれた。
そう、他の騎士団の竜は既に揃っていた。
何で俺のワイバーンが来ないのかと言うとねぇ・・・・
「今日はお嬢さんの機嫌が悪くてさぁ、いくら呼んでも来てくれねぇのよ」
本当の事をニコルに伝えたら
「君のワイバーンって・・・」
「我侭なんだよっ!!」
項垂れた俺を慰めるように肩にポンと手を置いたニコル。
「女性の扱いは難しいからね。でも君、一応は竜騎士団の団長さんでしょ?必要な時にワイバーンが来てくれないんじゃ・・・死ぬよ?」
「・・・・・」
そうだ。団長なのに多分、一番ワイバーンを乗りこなせていないのは俺。
何だか悲しくなってきた・・・
「ピィーッ・・・おーい!お嬢さ~んっ!!!」
指笛を鳴らしてワイバーンを呼んだ。