イケメン女子の学園生活 〜番外編〜
オレの手を引き、走る翔は真面目な顔で走っていた。
さっきと立場が逆転だ。
『翔、大丈夫だよ』
路地裏を抜けてもなおオレの手を掴んだままの翔に声をかけた。
「…ああ」
『それに、翔が手を出すほどでもなかったのに』
ヤクザに下手に手を出すと面倒くさいだろう。
それなのに翔はオレを庇ってくれた。
「…朔月が大丈夫なのは分かってる。俺が…守りたかったんだ」
そう言って顔を綻ばした翔はギュッとオレの手を握った。
目が合うと優しく笑う翔にオレも肩の力が抜けた。
『ありがと、翔』
「あぁ。いつでも守ってやる」
そんな柔じゃないけどなー、
そう言って歩き出せば確かに、と翔は笑った。
滋君にどんなサプライズでプレゼントを渡そうか話ながら帰る道。
今だ繋がれたままの手を見て、オレは一言。
『なんかデートみたい』
「…っ!?//////」
途端に顔を真っ赤にして目を剃らした翔。
しかし手はしっかり繋がれていて、オレは何だか可笑しくて、笑った。
照れたように翔も笑ってから
「また、デートしよ…//」
と、小さい声で呟いた。
後に聞いた話では、滋君の誕生日は大成功だったとか。
〜悩める狼 end〜