イケメン女子の学園生活 〜番外編〜
『何処を持てば…?』
「俺の腰」
グイッと翔の腰に腕を回された。
思いの外密着しちゃってビックリ。
「……家、どこ」
『あー…〇〇通りのコンビニで』
「…分かった」
翔のシトラス風の香りと逞しい腰に動揺しながら、家の近くのコンビニを指定した。
ちゃんと捕まってろ、とオレにヘルメットを被せてから、エンジンをかけた。
『翔のヘルメットは?』
「俺はいい……お前がつけとけ」
ブオン…ブロロロ……
暴走族らしからぬ静なエンジン音をたて、バイクは動き出す。
カーブとか身体傾けたりすんだよな??と、焦るオレにどこか楽しそうな翔。
「大丈夫だ。任せろ…」
『おおぅ…』
スピードが乗ってくると案外気持ち良いもので、そういえば雨脚も軽くなってきた。
信号待ちで止まる度に、振り返りオレを確認する翔。
心配いらないのにな。
「……なあ」
『んーー?』
「……………、気持ちいか?」
『あー、さいこー!』
風に乗って聞こえる翔の声。
翔の香りに翔の温もりに翔の声……って、バイクって運転する人のことだらけになるな。
横顔がチラリとしか見えないけど、心なしか笑っているようにみえた。