青い鳥

「残念だったね」

渚が帰り道最初に言った言葉


「ああ、これで三年も引退だよ」


「次のキャプテンは?」


「菊地になった」


「菊池くんしっかりしてるもんね」


「うん。今日きてくれてありがと」


「見てて楽しかった」


「そっか」


俺はその時今まで引っかかっていた渚の言葉の意味を聞こうと思った


「なぁ渚、博樹の葬式の時に『私もいつ壊れちゃうのかなって』って言っただろ」


「えっ」


「あれなんか深い意味あるのか?」


「別に意味なんかない。思ったことを言っただけ」


ずいぶんあっさりとした答えだった
少しだけスッキリした


「なんで?」


「だって、いかにももうすぐ死にますみたいにいうから」


そう俺がいうと渚は笑った


「大丈夫。私はここにいるよ」


そう言って渚は俺の手を握った


「温かい・・・」


ボソッとつぶやいた言葉


「暖かくなかったら、死人だよ」


「一言余分。あのさ青い鳥がいるなら俺は渚と一緒に見たい」


「またその話?好きだね」


「すきじゃだめかよ」


「じゃぁ、一緒にさがしにいこうか」


意外な言葉だった


「青い鳥とか信じないんじゃなかったのか?」


「幸せを運ぶ青い鳥は信じてないけど青い鳥は信じてる。実際に日本にも存在するし」


「ただの青い鳥じゃ意味ないだろ」


「変だよ」


「?」


「そんなにロマンチストだったけ?」


「気持ち悪いこというなよ」


「気持ち悪いこと言ってるのは燐でしょ。それに青い鳥なんかいなくても私は十分幸せだよ」


「欲がないんだな」


「本当のことだよ。百花が教室でいつも笑ってて、皐月くんが笑わしてきて、燐がそばにいてくれたらそれだけでいい」


渚の言い方に少しさみしさを覚えたと同時に必要とされている嬉しさがあった

「燐照れてるでしょ?」


「ちょっとな」


そう言って二人で手を繋ぎながら帰った



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