ミルク珈琲

渡辺先生のフルネームは渡辺 琉輝(わたなべ りゅうき)。
年齢は23歳。化学の教師で去年は3学年の担当だったらしい。
男子バスケットボール部の顧問でいつも生徒に混じって練習したりしていて結構上手いとか。

歳が若いのもあってか女子だけでなく男子生徒からも好かれているから多分渡辺先生の事を知らなかったのは私だけだったんだろうって蜜柑に言われた。


蜜柑がだんだん渡辺先生の説明から先生のどこがいいかとか語り始めた時、ホームルームの5分前を告げるチャイムが鳴った。
そして教室の扉が開く音がして先生が入ってきたのだと分かった。

私はキラキラと目を輝かせて前を見つめる蜜柑の視線を追うように体を前に向けて先生の顔を見た。


その瞬間、私は先生から目が反らせなくなった。
何故なら渡辺先生の顔は私の初恋の人とそっくりだったから。
当たり前の事だけどよく見ると所々違う。でも雰囲気が別人とは思えないほどよく似ていた。


「もう予鈴鳴っただろーが。お前ら早く席に着けー。」

先生は出席簿を机に置きまだ話をしている生徒達に席に着くように促した。
その言葉に従うように生徒達は自分の席に戻り着き始めた。

「如月、お前1番可哀そうな席大当たりだな。まぁ適当に頑張れよ」

さっきまで教室全体に向けられていた視線が急に私に向けられふっと微笑み掛けられた。
トクンッと心臓がいつもより大きく跳ねた。
一目惚れ。それとは何となく違う気がするけどきっとこの先生の事を好きになるのだろう。

私は直感的にそう感じた。
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