【短編】惚れやすい女
そして啓くんは家にわたしを送り届けてくれた。

1度しか行ってないのによく覚えてたな…。

しかもキマって運転してたくせに。



「啓くん、本当にありがとう。もう男の人と会うの、わたしやめる。」


降りる前に言うと啓くんはわたしの手を軽く握って降りるのを止めた。


「俺もその中、入ってんの??」


そりゃそうだよ。

あんただって男じゃん。

ヤることちゃっかりヤってる奴じゃん。


黙ってるわたしに啓くんは


「嫌がることしないから。会わないって言わないで。」


そう言いながら手を離してくれた。

手を掴むこと、嫌がるって思ったのかな??

本当に優しい人なんだって思った。


優しい人っては前から思ってた。

ただ、マリファナ中毒なのが嫌なの。

もし、捕まったら会えなくなるのが嫌なの。

だから好きになるのが怖い。



「啓くんとは…難しいよ。わたしマリファナに抵抗あるから。ごめん。」


そう言うと啓くんは黙った。

きっとマリファナとわたしを考えるとマリファナが上だったんだろう。

悲しくなってわたしはそのまま車を降りた。



そして家に入った。
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