【短編】惚れやすい女
「大丈夫だよ。何か心配かけちゃったね。やっぱ逮捕されたくない?」


まだ笑いながら言う啓くん。


『そりゃそうじゃん!!』


「なんで?だって俺ら終わってんじゃん。」


そう言われたらそうだけど…

せっかく知り合ったのに逮捕とか…。

でも何て言えばいいのか。

黙ってるわたしに啓くんは続けた。


「ね、里香ちゃん今家?行っていい?」


その言葉にわたしはいいよ、と言って電話を切った。

なんでいいよって言ったのかはわかんない。

暇だったし、会って話もしてみたいって思った。



その30分後くらいに本当に啓くんは来た。

家に呼び、コーヒーを出して話をはじめた。



「ね、知ってる?この言葉。」


『何?』


「押してもだめなら引いてみろ。」


その言葉にわたしは”はぁ?”って思った。

そんなんじゃないし。


「ま、そんなつもりじゃ全然なかったんだけど車運転しながら来てるときこんな意味だったんかなって思ったんよ。」


『違うし…。』


そう言うと啓くんはちょっと恥ずかしそうに笑って


「そりゃーそうだよな。アハハ。」


って言ってた。
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