【短編】惚れやすい女
「そっかぁ~。頑張ってぇ~!!!」


もう悲しくなって言った。


『里香ちゃんは?できたんだろ?その言い方は。』


確信があるかのように聞く啓くん。


「できたけどダメだぁ。」


明るく言った。

啓くんだってことを悟られたくないから。


『ダメなの?俺だったら里香ちゃんなら絶対オッケーなのになぁ。バカだねぇ、その男。』


わたしは固まってしまった。

冗談で言ってるのだろうけど…冗談でそんなこと言われたくない。

傷つくんだから。


『もしも~し?どうした?』


固まってるわたしに啓くんは続ける。


「そんなこと言うなら本気にしちゃうよ~?」


ハッとして笑いながら言った。

こっちも冗談かというように。


『本気に?しちゃえよ。だって俺本気だもん。』


心臓がドクドクと高鳴ってるのがわかった。

脇からも手からも汗がにじむのもわかった。


「じゃあオッケーする?」


笑いながら言う。


『喜んで。』


啓くんも笑う。


なんじゃこれ。

そう思うよね。


でもこれがわたしたちの付き合うきっかけだった。

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