小さな初恋
俺の口から“葵"の名が出た時に、



斜め前の花柄が、


一瞬反応した。



そして初真は、

初めて聞く葵の名に、不思議がっていた。


「…誰?」



葵の話を、誰にもしたことのない俺は、


なぜか凄く恥ずかしい気持ちになった。




「兄貴の…彼女だよ…」













力なく、

俺と葵の関係を簡潔的に説明すると、



「…ごめん…」

初真は謝った。




「謝る必要ないだろ?」


俺にこんな話をさせた自分を、酷く思うのか…



「…ごめん」

そう言ったきり黙り込んだ。



花柄と言えば…


こっちをたまに見てくる。





話が、

聞こえたんだろうな…





初真は、

叶わない恋愛をする俺に対して、


可哀想とか思ってんのかな?…━━━━━━












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