小さな初恋
━━下校時間━━


やっぱり雨は止まず、

より一層強く降っていた。


「制服濡らしたくない…」

そう言うが、


しょうがないか。

「…愛斗?」



振り向くと、

花柄が立っていた。


「おお…」

「傘は?持ってないの?」



女の子らしい可愛い傘を広げながら、


下駄箱の前で立ち往生する俺に、


「傘…使う?」

なんて聞いてきた。


「いやいいよ」



それじゃぁ、

花柄が濡れるだろ?


「あたしはバカだから大丈夫!!風邪ひかないから♪」



傘を俺の前に差し出してきたが、

俺はそれを断った。




「バーカ!!
俺の方が頭悪いから♪」


お互いにバカって自分で言って、笑いあった。




「本当にいいの?」

「大丈夫♪」








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