小さな初恋
「けどな?

そんな葵にいつしか惚れてたんだ…」



そう言うと、

葵は驚いた顔でこっちを向いた。


「初めは漠然としていて、

その気持ちが“恋"なのかさえ分かんなかった…


でも、恋は片方だけじゃ成り立たない…



だから…━━━」





葵…


これが俺の気持ち…





「俺は、葵が好きだ」


初めて口にしたような、不思議な感覚。



頬を撫でるそよ風も、

足下の花も…


空を流れる雲でさえ…




遠くに感じられるくらい、

緊張していた。



「…ッ愛…斗…あたし!!…」


分かってる。



どちらを葵が選ぶのか…





でも…

分かっていても、



葵の口から聞かされるのは辛いから…









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