小さな初恋
それが俺にとっての葵…━



帰れば

当たり前のようにいて、




『お帰り』

なんて言ってくる



でも…




部活をやっている兄貴の帰りを待っているんだ…





“好き"

って気持ちとは裏腹に、



憎まれ口ばかりの俺は…





好きな人の前で

素直になれないガキ。





━━━『愛斗は、好きな人いるの…?』


昨日、

そう花柄に聞かれた。




『えっ!?』


まだ誰にも教えていない俺の気持ち…




『心の底から、

愛してるって思える人…


愛斗は、いる?』





『…いない』


壁一つ隔てた向こう側に、



俺の好きな人がいる。




口に出せば聞こえてしまいそうで、


高鳴る鼓動は、気づかれてしまいそうだった。





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