小さな初恋
俺の横で、


さっきまで俺が動かすことなく握っていたシャーペンを持ち、

真剣に説明し出す葵。




香水じゃない、


自然な優しい香りがする。



それが葵の香り。


『だから、
訳すとこ~なるの♪

…分かった?』



結局、

俺の宿題やっちゃってんじゃん…。



『わっ…分かった』


理解してくれて良かった~


なんて言いながら、



俺のベッドに寝転がる葵。


ベッドの横に飾ってあるサッカーボールが気に入ったらしく、



いつもクルクル回しては、


床に落としている。



落ちては拾い、
落ちては拾い…


学習しろよ!!

って思いながらも、

その行動を見るのが好きだった。




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