悪魔的に双子。
双子がふた組
『何の因果だ』


9歳のあの日、わたしと有志は何度も何度も心の中で繰り返した。


奴らと一緒に暮らさなきゃいけない自分たちがひどく哀れだった。


わたしと有志も双子だけど、わたしたちとは明らかに異質の存在。


大人に言わせれば、天使のような双子。


わたしと有志に言わせれば悪魔そのもの。


真昼と唯流。


わたしたちと、同い年の彼ら。


その容姿は愛らしく、微笑みは氷をもとかす陽だまり、涙は冬の慈雨。


でも、その実態は外側から見えるものとは180度違う。


兄の真昼が微笑むのは、わたしと有志をいびる口実を見つけたとき。


妹の唯流が涙を流すのは、わたしと有志が泣いているのを見て、笑い死にそうな時だ。
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