悪魔的に双子。
恐る恐る居間に入ると、お父さんとお母さんがわたしたちに妙に弱々しい笑みを向けた。


「おかえりなさい」


「ただいま……こんばんは」


最初の挨拶はお父さんとお母さんに。


二番目の挨拶は……ソファに座っている知らない男の子に。


高校生くらいで、お母さんと同じ、ため息が出そうなほど羨ましい黒くて艶やかな髪をしている。


男の子は入ってきたわたしたちに反応してこちらを見たが、すぐにふいっと視線をそらした。


わたしは腹が立つより拍子抜けして助けを求めるようにお父さんの方を向いた。


「おかえり……留守にしてすまなかったね」
「なんで百合人がここにいんの」


ふいに、唯流がお父さんの言葉を遮るように言った。


静かだが、激しさの滲む口調に、わたしは思わず後ろを振り返った。


「お知り合い?」


有志が首を傾げて真昼に尋ねる。


真昼はちらりとわたしの方を向くと、小さく息をはいて言った。


「百合人……母さんの弟だよ」
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