悪魔的に双子。
晩飯はスーパーの惣菜だった。


いつもはこんなことないんだけど、こだわりを捨てざるを得ないほど、お母さんも疲れているのかもしれない。


椅子の数が足りなくて、お父さんが有志に勉強用の回転椅子を部屋から持ってこさせた。


百合人くんは有志がどうぞと言っても、ありがとうすら言わなかった。


有志はわざわざ二階までとりにいったのに、すました顔で当然のように座る。


わたしは思わずむっとしたけれど、それを察したらしい有志に目でいさめられて、結局何も言えなかった。


有志は放課後の部活プラス朝練で疲れてるのに。


不機嫌オーラを醸し出すわたしと唯流に、それぞれになんか疲れてる他の四人と百合人くん。


楽しい楽しい夕ご飯、になるわけがなかった。


気まずい空気の中、いち早く飯を飲み下した唯流が、まだ皆食べ終わっていない中でお母さんにくってかかった。。


「さっきの続き、何で百合人がいるの?」


唯流が百合人に向かって心底嫌そうな視線を送る。


はたから見たら中々に失礼なことをされていると思うのだが、百合人くんはさして気にならないらしく、刺さったら痛そうな視線を綺麗にスルーしていた。


唯流に言ったら嫌がりそうだが、黙々と惣菜を口に運ぶ様子は唯流を彷彿とさせるものがあった。


まるで精巧につくられた動くお人形さんだ。


しかし、顔は唯流と真昼にはまるで似てない。


黒くて艶やかな髪といい、本当の親子である双子とお母さんよりも、百合人くんとお母さんの方がよく似ていた。


年は離れているが、やはり姉弟、なのだろうか
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