悪魔的に双子。
「しばらく一緒に暮らすからよ」


お母さんは口の中にあるものをごくりと呑み込むと、さらりと言ってのけた。


わたし、有志、真昼、唯流がフリーズすること数秒。


「……なんで?」


一番はじめに我に返った真昼が恐る恐るというか少しあきれた口調で尋ねた。


百合人くんはまるで自分は無関係であるかのように反応しない。


「おばあちゃんが入院したのよ。一人暮らしさせるのは不安だから連れてきたの」


これは真昼と唯流にのみ向けられた言葉だった。


唯流の目がゆるゆると見開かれる。


真昼は気味が悪いほど何の反応も示さない。


「『あの人』どっか具合悪いの?」


さっきまでの勢いはどこへやら、唯流がおずおずと尋ねた。


「そりゃ、入院するんだからどっかは悪いでしょうね」


お母さんが淡々と返す。


「へぇ」


つぶやいた真昼の口元に皮肉っぽい笑みが浮かんだ。


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