悪魔的に双子。

過去

「祖母と暮らしてたってことは百合人とも暮らしてたってことで、多分周りの人たちには兄弟として見られてたと思う。」


そこで言葉をきると、真昼はわたしの顔を覗きこんだ。


目に人を試すような色を宿してわたしに尋ねる。


「青さ、百合人見てどう思った?」


わたしはどう答えるべきなのか分からなくて首をかしげた。


「どうって?」


「なんでも。どういう印象もったかとか。」


わたしは先ほどの困惑の出会いを頭に思い浮かべた。


黒髪の日本人形みたいな美少年。


お母さんに半端ではなく似ている。


加えて真昼唯流にはカケラも似ていない。


ふせた目は内気というより……


「物静かな感じ?」


真昼はにっこりした。


わたしの答えがお気に召したのだろうか。


「まぁ、物静か、といえばそうだね。」


真昼の言葉に、わたしはほとんど無意識に、


「でも性格悪そうだよね」


と付け加えていた。


頭に浮かんでいたのは一生懸命場の空気を和らげようとしていた健気な有志の姿だ。


とっさに『有志求む‼』の文字が頭をよぎって、不覚にも吹き出しそうになってしまったことは内緒だが。


真昼は楽しそうにふふっと笑った。


「性格悪いなんてもんじゃないよ。百合人は悪魔だから。」


悪魔はあんたと唯流でしょ、と言いたい衝動を堪えるのが大変だった。






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