悪魔的に双子。
弱いっ弱くないっとはたから見たらよく分からない押し問答を繰り返した後、見ていられなくなったらしい有志が、


「いいよ、かくれんぼしようよ。ちょうど宿題飽きてきたし」


とにっこりして言った。


わたしは兄にしがみついて、キッと唯流を睨みつけた。


「ほら、有志は弱くなんかないもん。優しくて強いんだから」


「あーはいはい、そうですね。でもそれかくれんぼと関係ないや。誰が鬼するの」


腹立たしい真昼が勝手にわたしの言葉を受け流して言った。


「じゃんけんしようよ」


有志がにこやかに提案する。


「平和主義、うわー」


唯流がわけの分からない悪態をつく。


わたしはまたもやむっとして唯流を睨んだ。


じゃんけんは、物事を円満に解決するために作られた人類の素晴らしい発明だっ


何が悪いっ


結局じゃんけんをして、有志が鬼をすることになった。


唯流がじゃんけんも弱いの?なんて言って有志をからかったのは言うまでもない。


有志は困ったように笑ってただけだったけど。


「じゃあ、僕ここで60秒数えるから。家の外に出るのはなしね。」


有志が数えはじめるのを背中で聞きながら、わたしたちはクーラーのきいた居間を出た。


外の空気は、夏の熱気にむわっとしていて、少しクラクラした。

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