悪魔的に双子。
蓮と待ち合わせの場所のことで居間で電話をした後、後ろを振り返ると目の前に百合人くんがいた。


「うわぁ」


人の顔のどアップに思わず口から間抜けな声が漏れる。


「ど、うしたの」


なんでこんな至近距離にいるの、と本当は聞きたかった。


「誰と話してるのかなって」


百合人くんが綺麗ににっこり笑う。


少しずつ、彼の笑顔を見る回数が増えているように思う。


「学校の友達だよ」


それはいいとしてとにかく近い。


百合人くんの純粋そのものみたいな黒目がすぐそこにある。


なぜ君はわたしが後ずさった分、また近づいてくるのだ。


「遊ぶ約束してるから、その確認」


「そっか」


ふいに百合人くんがわたしに迫ってくるのをやめた。


なぜか考えこむように眉間にしわを寄せる。


動かなくなった。


百合人くんは平均の人間のテンポからツーテンポくらいずれているので、しばらく待つことにした。


考えがまとまったらしい百合人くんは、機械じみた笑みを浮かべて言った。


瞳が無邪気に輝いている。


「青ちゃん、俺とも……遊んで?」


「……ん?」


言われた言葉が予想外で、わたしは目をパチクリさせた。
< 140 / 272 >

この作品をシェア

pagetop