悪魔的に双子。
適当に本棚からぬいてパラパラ読んでいると、ものすごく近いところから人間の気配がした。


……この感じ、だいぶ慣れてきたかもしれない。


右に顔を向けると、案の定、百合人くんの顔がおっそろしく近いところにあった。


百合人の人の顔を覗き込むくせは少々心臓に悪い。


覚悟して首を回したはずなのに、わたしは黒目がちの瞳に思わず一歩退いた。


「ど、どうしたの?」


引きつった笑顔で尋ねると、百合人は無表情のまま、


「お腹すいた」


と言った。


「あー……もうそんな時間か」


わたしたちははしごに座っている真昼を迎えに行った。


真昼は本を読むでもなく、ぼぉーっとはしごに座っていた。


顔色はだいぶ戻っている。


「真昼、ご飯食べに行こ」


顔を上げた真昼に言うと、真昼はかすかに微笑んでうなづいた。


手を差し伸べると、おとなしくつかまって立ち上がる。


……ここまでおとなしいと少々気味が悪い。


迷子になられても困るので、真昼の手を握ったまま、出口に向かった。


扉の取っ手を掴むと、力を入れるでもなく、勝手に開く。


扉についた鐘みたいなもんがシャラシャラと鳴る。


入ってきた人の顔を見て、わたしは驚きで目を見開いた。


「あれ、青ちゃん?」


「凛太朗先輩」


のんびりした笑顔を向けてくるその人は、まぎれもなく凛太朗先輩だった。





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