悪魔的に双子。
え……


わたしが目を見開いて凛太朗先輩を見つめると、先輩は恥ずかしげに微笑んだ。


「いやー、青ちゃんと過ごすうちにお兄ちゃんみたいな心境になっちゃって、妹に彼氏できるって、なんか嫌かなーと」


凛太朗先輩の瞳には相変わらずの無邪気な輝き。


大好きな笑顔。


あ、そういうことか。


一瞬、ちょっと喜んでしまったのに。


わたしは真昼の腕を握る手の力を緩めた。


いつの間にか、ゆっくりと立ち上がっていた。


「……いらない」


わたしのつぶやきに、凛太朗先輩がキョトンとした顔をする。


「わたしには有志がいるから、お兄ちゃんなんて、もういらない」


自分が先輩を戸惑わせるようなことを言っている自覚はあったけれど、止めようもなかった。


「青っ」


真昼の呼び止める声がする。


わたしは本を踏みつけてその部屋を出ると、店を飛び出していた。


< 151 / 272 >

この作品をシェア

pagetop