悪魔的に双子。
今朝はなぜか真昼と二人で登校することになった。


「有志は?」


有志の姿が見当たらなくて首をかしげるわたしに、真昼が微笑んだ。


「有くんならもう行ったよ、唯流と一緒に」


わたしはぽっかーんと口を開けた。


そりゃ朝練の期間は別々だったけれど、ずっと二人で登校してたのに。


何も言わないで有志が行ってしまったことにわたしは軽くショックをうけた。


そんなわたしの様子に、真昼は人の悪い笑みを浮かべた。


「僕が唯流に頼んだんだよ、有くん引っ張って先に行ってくれって」


「……なんで」


真昼の行動の真意が計れなくて、わたしは眉を寄せた。


「べっつに、大した意味はないけど……ほら」


真昼は玄関に降りると、わたしを見上げて言った。


「早くしないと、新学期早々遅れるよ。もうそんなに余裕ないんだから」


居間の時計を覗いて、わたしは慌ててカバンをとって玄関へ向かった。


真昼の言うとおり、何時の間にか結構な時間になっている。


「いってきまーす」


ドアを開けると真昼が待っていた。


わたしに向かって手を伸ばす。


色素の薄い瞳の色が、今日はちょっぴりいたわるような光を宿している。


「ほら、ちょっと走ろう」


「うん」


わたしは真昼の手をとって、引っ張られるままに走り出した。
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