悪魔的に双子。
真昼はわたしを引っ張りながら、ぶっきらぼうに尋ねてきた。


「リンタロに会うの?」


「うん、会えたらね」


「そっかー」


季節はまだ夏。


朝っぱらから額を汗で濡らして、わたしと真昼が学校へ急いだ。









今日は始業式、掃除、HRの三本立てで終わり。


本格的に授業が始まるのは明日からで、午前中には解放された。


放課後になっても、クラスのみんなは帰る様子がない。


夏休みの積もる話でもあるんだろう。


中にはなにやら興奮してるやつもいる。


久しぶりの学校というのは、自然と心が変な方向に動くもんなんだろう、と納得することにした。


「青さん、この後、暇?」


わたしを見上げる蓮に、


「いや、ちょっと用事ある」


と首を振る。


口を開く蓮に手を振って、わたしは教室を出た。


足は、何度も行った方向へと自然に進んで行く。


階段を上がって、わたしは音楽室にたどり着いた。


ドアはいつも開いている。


楽器は丁寧に扱うなら、いつでも使っていいらしい。


なんでも校長先生の意向らしいが、そんなこと、ここの生徒のほとんどは覚えてないと思う。


だって、いつだってここには、わたしと凛太朗先輩しかいないから。


「先輩来てない」


わたしは明るい日の入る音楽室へと入っていった。


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