悪魔的に双子。
12時の鐘が鳴り、シンデレラは舞踏会をあとにする。


小さなガラスのくつを残して。


ここまでは、中学生が文化祭でやるにしてはかなりのクオリティだ。


かぼちゃの馬車の絵しかり、シンデレラしかり。


しかし、よく考えてみれば、あの蓮が正統派のまま終わらせるわけがなかった。


よく知られているストーリーの通りに、王子はシンデレラを探すため、国中の女の子にガラスのくつを履かせ、ぴったりと合う可憐な足の持ち主を見つける。


しかし、有志扮する王子が見つけた女の子は一人ではなかった。


なんとくつにぴったりの足を持つ少女が、7人もいたのだ。


登場した女の子たちの中に、明らかに男が2人いて、生徒席がどっと湧いた。


あー、なんか面白くなってきた、と。


でもわたしは一人あっけにとられていた。


( 唯流⁈ )


女の子の中に、唯流が混ざっている。


なんでだ?唯流はわたしたちと一緒に壁画作っていたはずなのに。


ちょっとした混乱が落ち着くと、唯流の背が異常に高いことに気がついた。


唯流は中2女子の平均身長から頭一つ半くらい小さいはずなんだが。


じぃーっと目を凝らしてみて、やっと合点がついたわたしはブッと噴き出しそうになった。


真昼だ。


唯流じゃなくて、真昼が女装してるんだ。


……真昼に劇のこと尋ねたら不機嫌な顔が返ってきた訳がわかった。


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