悪魔的に双子。
ミスコンの定義は知らないが、我が校で行われようとしているそれが明らかに定義から外れていることは分かる。


一組三人までというのはおかしい。


思ったとおり体育館にはかなりの人が集まっていた。


早くも真昼の顔が蒼くなっている。


よく天使みたい、とか言われるやつだが本気で天に昇っていきそうだ。


「どうする、真昼?やっぱ外出る?」


「いや……みてるよ。唯流が……心配すぎる」


「……」


わたしは心配というか不安である。


あのお姫さまはいったい何の目的で飛び入り参加なんかしてるんだ。


「青っ、真昼くん」


聴き慣れた声に目をやると、真昼とは反対に頬を紅潮させた有志がいた。


人混みを避けて体育館の端っこのスペースにいるわたしたちに、よく気がついたものだ。


見たところ一人のようだ。


「一人でまわってたの?」


有志がふわりと笑って首を横にふる。


「ううん、最初は成海とまわってたんだ。でも龍に放送で散々文句言われて、あいつ物凄い怖い顔して走ってっちゃった。ったく、勝手だよね」


と言いつつも嬉しそうに見えるのは、やはりずっと見てきたからだろう。


とりあえずどうなるかは分からないけど、田城は確かに新田と口をきいたのだ。


「ねぇ、あれっていったい何だったの?」


事情を知らない真昼が顔をしかめて尋ねてくる。


わたしと有志は顔を見合わせ、肩をすくめた。


「なんだろうね」
「くだらない喧嘩」
「子どもの意地」
「ま、本人たちにとっては切実」
「まわりはいい迷惑」














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