悪魔的に双子。
真昼は少しあきれた顔をして肩をすくめた。


「よくわかんないけど、まぁ、いっか」


それより今は唯流、だ。


我らが末っ子。


性格悪い美少女にしてわがままなお姫さま。


「ねぇ有志。唯流がミスコンに出るの知ってる?」


有志はキョトンとした顔をして首をかしげた。


「……唯流がミスコン?あの唯流がミスコン?」


そしておもしろい冗談でも聴いたようにあははっと笑う。


「なにそれ、そんなことあるわけないじゃない。唯流がミスコン?あのめんどくさがりやさんが?」


しかしわたしと真昼が笑わないのを見て、真顔に戻った。


「ほんとなの?」


「うん」


真昼が目を見開く有志に目を細める。


「有くんさ、唯流に何か言ったんじゃない?」


「……なんでそう思うの」


不思議そうにまつげをぱちぱちする有志に、わたしと真昼は思わず顔を見合わせた。


「だって……」


「ねぇ」


「唯流が活動的になる時って、大抵有くんが関わってるじゃないか」


自覚はあるらしく、有志がうっと詰まる。


「で、でも僕ほんとに何も言ってないよっ」


ほっぺを真っ赤にしてうったえる有志に、たしかにこれはないな、という結論に至る。


しかし、有志が関係ないとすると、いったい何が唯流をミスコンに出そうとしているんだ?


「もうそろそろだね。」


蒼い顔の真昼がぽつりとつぶやく。


たかが中学校の文化祭とはいえ、ステージから見た観客の数は圧巻だろう。


まぁ、唯流がそれに呑まれることはないと思うが。


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