悪魔的に双子。
ステージの上で司会の男女二人が変に高いテンションでミスコン開始を告げる。


体育館の中はあいもかわらずざわざわとしている。


これは若干、ステージの上の人はやりにくいだろう。


人に注目されるのはよっぽど慣れた人でなければ緊張するものだけれど、注目されるようなことをしているのに観てもらえないのは悲しいもんがある。


しかし、一組目の二人の一年生女子が出てくると、まるでアイドルかなにかを迎えるように、生徒たちがきゃあきゃあと声援を送り出した。


文化祭のせいで、皆テンションがおかしくなっているようだ。


「すっごいねぇ」


横で有志が目を白黒させている。


女の子2人組がステージで踊り出すと、誰からともなく手拍子がはじまった。


…こんなキレキレのダンス、生ではじめて見る。


予想外のクオリティの高さに、わたしも目を白黒させた。


唯流……大丈夫なのか。


唯流はこの狭い中学校では真昼とセットでけっこう有名人だ。


しかし真昼と違って、人望が絶望的に薄い。


あのわがまま放題ツンツンの性格をまったく隠す気がないのだから当然だ。


唯流がステージに上がった瞬間、それまでの熱気が一気に下がってシンっとかなったらさすがにいたたまれない。







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