悪魔的に双子。



「……青さぁーん、青、あーおー聞いてますかぁ?」


「……聞いてない」


「うわぁ、いつにもまして容赦ないすね」


蓮がわざとらしく顔をしかめ、嘆いてみせる。


「そしていつにもましてしけた面してる自覚はあるんですかいの」


「………あるです」


自分の顔が死んでるであろうことは、朝から一回も鏡見てなくてもわかる。


凛太朗先輩に少しでも良く見られたくて、やたら鏡やらガラスやらを眺めていた頃からしたら嘘のようだ。


あれからそんなにたっていないのだけれど。


「うーん、日本語の使い方がかく乱するくらいの何かが今青さんの中で葛藤してるわけですね」


そういうわけです。


昨日、真昼と喧嘩してから、というより一方的に殴りつけてから、見事に家族の誰とも口をきいていない。


正直家族の顔を見るのが気まずい。


特にお母さん。


『お母さん』と呼びながらも、実は母親だとは思えていないんじゃないかと、自分のことが少し疑わしくなった。


一緒に暮らし始めて五年が経つのに、いまだにあみ子さん、と間違えそうになることもある。


ママとの再会を、喜んでしまった。


そういうものが混ざり合って、わたしの中に妙な罪悪感が生まれていた。




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