悪魔的に双子。
大量の服が入った袋を前に、自転車のかごに入りきらないよ、と言うと、ママは無言のままベッドの下から大きなリュックを取り出した。


「これに入れて、背負いなさい。そしたらなんとかなるでしょ。」


「………うん」


ママが持っていたほうの服を、買ったお店のロゴが入ったかわいい袋ごとリュックに詰め込んだ。


なかなか入ってくれなくて四苦八苦しているわたしに苦笑って、ママが手を貸してくれる。


「大雑把ね、誰に似たかしら」


そりゃ、ママでしょ、と心の中でつっこむ。


「でも、家の家事を手伝ってるのはわたしだけなんだよ。有志も真昼も唯流もちっとも役に立たないから……」


「ふふ……まぁ、有志が役に立たないだろうってのは、だいたい想像つくわね」


残りの時間は穏やかに話して過ごした。


ほとんどママが、わたしの話を聞いてくれた。


こんなに優しい気持ちになるのははじめてかもしれない。


ママがちらりと時計を見て微笑んだ。


「青、遅くなるわ。帰りなさい」


「………」


「青ちゃん」


「うん、帰る」


二人して立ち上がり、部屋を出た。


わたしは大きなリュックを背負い、ママが袋を持ってくれる。


エレベーターの鏡に映り込んだ、周りから見るとちょっとマヌケかもしれない姿に、妙に笑えてきて、力なく苦笑した。
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