悪魔的に双子。
ママはわたしを自転車のところまで送ると、困ったように首をかしげた。


「なんか大変そうね」


なにが大変ってもちろんいきなり現れた大荷物が大変なのだ。


でかいリュックを背負い、カゴにもやたら膨らんだ袋をいれているわたしは、見ようによっては家出人だ。


「大丈夫。服って軽いもん」


にっこり微笑むと、責任を感じているのか、ママはハハッと乾いた笑い声を漏らした。


自転車にまたがり、名残惜しくママを見つめた。


もしかしたら、もう二度と会えないかもしれない。


出かける前はあんなに勢いこんでいたものを、なにやら自分が情けない。


「ママ…あの」
「決めるのは青が決めてね。」


わたしの言葉を遮るように紡がれた言葉に、首を傾げた。


そんなわたしの様子に、ママがなにやらいたずらっぽい笑みを浮かべる。


「ずるいってことはわかってるけどね、でも、ママだってこれからそわそわし続けることになるんだから、勘弁してね」


「……うん…?」


「ほら、もう行って。暗くなったら危ないもの」


ママに急かされ、消化不良のまま、ペダルを踏む。


「……バイバイ」


「……うん、バイバイ」


バイバイ、とママの声がわたしの耳をくすぐる。


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